当会は、会の名称どおり、園芸療法の普及を目指すために設立されました。
園芸療法が普及されるためには、以下の状況が前提となります。
1.実践できる人材が豊富にいる。
2.実践者が正当な報酬を得ることができる。
当会は、上記の状況を作ることを目的に、2004年4月に設立されました。
設立時の理事は、
農業系専門学校理事長2名、高齢者施設運営者1名、ガーデンセンター運営者2名、
園芸本出版会社経営者1名、園芸器具製造会社経営者1名、園芸療法実践者2名です。
園芸療法をボランティア活動ではなく、仕事として成立できる環境づくりが目的でした。
当会の現在の中心的な事業内容は以下の2点です。
現在の日本の社会的状況の下で、園芸療法士を最も求めているのが高齢者施設です。
多くの高齢者施設では、すでに園芸活動が行われており、それなりの成果を挙げていますが、
園芸療法の正しい知識と技術を身につけた者が、園芸活動を指導することにより、
さらにより多くの、確かな成果を挙げることができます。
また、園芸療法を理解し実践に協力できるボランティアの育成も急務となっています。
したがって、現在は、「高齢者に対する園芸療法」が日本各地で定着し評価を得ることを目標に
活動致しております。
各地での高齢者施設での園芸療法実践者が、一定水準の園芸療法の知識と技術を習得し、
同じレベルの、再現性のある活動結果を得ることができるように、またその経過と結果を共有
できるようにすることが大切だと考えます。
そのために、本会は以下の事業を行っています。
@園芸療法実践家、およびボランティア育成のためのテキストの作成
A園芸療法実践家、およびボランティア育成のための講座開講(開講主催者への支援)
B園芸療法実践家の資格の認定
C活動から得られたデータの集積、分析、発表
専門性を持つ職種として、園芸療法が医療、福祉、介護、教育の現場で正当に評価され、
園芸療法士が妥当な報酬を得る環境を創り出すことが、本会の活動の主目的です。
したがって、広く園芸療法の社会的意味、価値をPRするとともに、
活動場所を得るために施設との折衝を行います。
行政の支援も欠かせません。
関連官庁、地方自治体、各種支援事業運営団体に対するアピールを行っていきます。
園芸療法の導入を求める現場は多様です。
児童施設(小中学校、養護学校)、病院、知的障害者施設、身体障害者施設をはじめ、
さまざまな現場への対応も本会の重要な事業です。
ただし、前述のように、現時点の取り組みとしては「高齢者施設」に焦点を絞り、
そこでの実績を基盤に次のステップに進んでいくのが実情にかなった取り組みだと考えております。
高齢者施設にはさまざまな問題を抱えた方々が、通所あるいは入所しています。
・身体機能が衰えた方(歩行困難、難聴、視覚障害など)
・知的障害(認知症等)のある方
・さまざまなレベルの精神的障害を抱えた方
それらの方々に対応する園芸療法の方法の確立と成果の蓄積が、
他分野への応用につながると考えます。
人材育成のための当会の講座テキストは、下記のステップを踏んで作成されました。
2003年の研究事業の様子 |
平成15年度(2003年)文部科学省委託研究事業として、
神奈川県藤沢市日本ガーデンデザイン専門学校を研究実施主体として、
同県厚木市の特別養護老人ホームにて8週間の園芸療法の実践が行なわれました。
実践活動を通じてもたらされた対象者の心身の変化を東海大学医学部が中心となって検証し、
高齢者施設における園芸療法のモデルが構築されました。
この研究事業には、英国・米国で園芸療法を学んだ園芸療法士と
日本国内において園芸療法を実践している園芸療法士5名が中心となって
プログラム、評価表を作成、活動目標を設定し、
対象者の心身の変化について様々な角度からデータをまとめました。
2004年研究事業受講風景 |
平成16年度(2004年)には、前年の研究事業を継続する形で、
園芸療法実践者の育成プログラムを確立するための研究が文部科学省の予算で行われました。
介護施設での勤務経験があるヘルパー2級以上の介護職から受講者を公募し、
神奈川県のデイサービス施設内で園芸療法基礎講座を開講し、
受講による園芸療法の習得度についての考察がなされました。
2004年研究事業実習風景 テーブル中央に座って、 対象者(ディサービス利用者)に対して 園芸療法を実施している講師。 周囲に立っているのが園芸療法を学ぶ受講者。 交代で各班のリーダーを務める。 |
2003〜4年の2年間にわたって行われた研究事業の成果は、
2005年に東京大学講堂で発表されました。
園芸療法に関心のある多くの方々が会場に集まり、
園芸および介護福祉関係の雑誌・新聞を中心に多くの方々に紹介されました。
2005年3月5日東京大学講堂で行なわれた、 「園芸療法士教育育成システムの研究開発」 の研究発表会 |
この研究活動には、
日本園芸療法普及協会の役員・スタッフが中心的役割を果たしました。
研究事業の成果を基に、現在の日本園芸療法普及協会のテキストが完成され、
2005年より、全国で実践者の養成活動が行われるようになりました。
岐阜県梶原知事も参加してのパネルディスカッション |
伊東政信 | 日本園芸療法普及協会会長、テクノ・ホルティ園芸専門学校理事長) |
遠藤久子 | (介護福祉士、特別養護老人ホームけいわ荘) |
大森 宏 | (東京大学農学部生物測定学研究室) |
郡司敏幸 | (グループホーム花樹、施設長) |
小泉 力 | (日本ガーデンデザイン専門学校教授) |
小島ゆり | (日本ガーデンデザイン専門学校講師) |
児玉良治 | (日本園芸療法普及協会専務理事、英国園芸療法協会日本支部初代主任講師) |
頭士智美 | (米国園芸療法協会認定園芸療法士) |
清水豪 | (NY州立病院での園芸療法研修後、法政大学大学院生) |
鈴木 修 | (日本ガーデンデザイン専門学校理事長、日本園芸療法普及協会理事) |
田中由美子 | (通所介護施設えまーぶるセンター長) |
濱昭夫 | (日本園芸療法普及協会副会長、長野県高等学校PTA連合会長) |
樋田奈穂子 | (介護福祉士、特別養護老人ホームけいわ荘) |
保坂隆 | (東海大学医学部精神科学教授) |
細井 薫 | (テクノ・ホルティ園芸専門学校教授) |
水口聡子 | (テクノ・ホルティ園芸専門学校講師) |
最上正秀 | (聖ヶ丘教育福祉専門学校理事長) |
矢野 広 | (医師・東海大学医学部精神科学) |
山下容子 | (武蔵野大学講師) |
山根健治 | (宇都宮大学農学部准教授) |
吉崎俊一郎 | (日本園芸療法普及協会北海道支部長 米国園芸療法協会認定園芸療法士) |
渡辺俊之 | (高崎健康福祉大学教授) |